2022-01-01から1年間の記事一覧
次回の“セッション”の予約を取り付けた後、熱田氏は帰っていった。 一人残された部屋で、私は自分の内部に緊張が高まりゆくのをひしひしと感じた。 足は、今夜も出るのか。 それとも、お札によって封印され、姿を現さないのか。 私はテレビをつけた。 バラエ…
「ここはまるで」 熱田氏は言葉を切り、もういちど私の部屋の中を見回した。 「何かの結界を張られたように、清浄だわ」 第13話(全20話) 12月24日UP #小説 #ホラー
「あの、セルライトビームでしたっけ」 「熱田スペシウムよ」 熱田氏は私を見ずに答えた。私はハッと硬直し、私もまた熱田氏を見ることができなかった。 第12話(全20話) 12月17日UP #小説 #ホラー
翌朝、洗面所の鏡を覗くと、やはり私の顔は無傷のままだった。 一体、どういうしくみなのだろう。 私の中に、ある意味“興味”と呼べるものさえ生まれた。 間違いなく痛いのに、間違いなく触感はあるのに、間違いなく蹴転がされているのに、どうしてその痕跡は…
翌朝目覚めてからも、首筋や後頭部、そして顔面全体に、痛みが残っていた。 私が意識を失った後も、足は私を踏みつけ続けていたのだろうか。 さぞや顔面痣だらけになっている事だろう―― そう思いつつ覗いた洗面所の鏡の中の私の顔には、傷一つなかった。 い…
熱田氏は別れ際、また電話で連絡をすると言った。 私は咄嗟に、電話ではなくメールで連絡するようにと依頼した。 依頼しながら、たとえメールが届いたとしても恐らく返信しないだろうと思った。 ことによると読みさえもしないかも知れない。 もう、この人間…
私が呆然と熱田氏を見つめている間、熱田氏は「機嫌好き無表情」とでも表現し得るような顔で、ただ私を見つめ返していた。 ニヤニヤしてもいなければニコニコもしていない、さりとて怒りや悲嘆の感情を浮かべているわけでもない―― いつの間に呼んだのか、テ…
結論から言うと、そのサイトの主への連絡先は、見つからなかった。 だがそのサイトが相互リンクしている他のサイトの中に、主が運営(というのか)している浄霊施設(というのか)への連絡先メールアドレスの表記が見つかった。 私はそのアドレスに、相談メ…
出てきた検索結果には、さまざまなジャンルのWEBページが並んでいた。 武道、サッカー、ゲーム、そして。 「霊の足に蹴られた」 という記事も、そこにはあった。 私はそれらを――つまり「足の霊に蹴られた」もとい「霊の足に蹴られた」という記述のあるものを…
そういえば、これも理不尽の一種ではある。 何がかというと、靴下だ。 その日は休日で、私は洗濯をしそれを干し、乾いた後取り込んで畳んでいた。 一人暮らしの身であるため、洗濯物がどうにも溜まりやすい。 というと、これこそが理不尽に聞こえるかも知れ…
この理不尽さ加減は――と、嘆いてばかりいても勿論はじまらない。 私は思った。 足と『対話』をすべきではないのかと。 線香を焚いたとき、それは『仏との対話』になるのだと、仏壇店の店員に私は教わった。 その時はただ薄らぼんやりと、そういうものか。程…
実際この理不尽さ加減というのはどうなのだろう。 例えば、天気だ。 古代の人は、雷が落ちたとか、日照りが続く、逆に異様な降水量だ等といった「穏やかならざる天候」を、神の、自然のスピリットのようなものの怒りと捉えていた。 供え物をしたり貢物をした…
この理不尽さ加減はどうだろう。 前述の、その暴挙の中で、私の脳裡にまた別の想いが生まれたのだった。 ――こいつは、俺に“供養”をして欲しいのではないのか? そう。 この足は、私を頼って、頼りにして私の前に(というか正確には背後にだが)現れたのでは…
この理不尽さ加減はどうだろう。 足は、私の腰をさっきから蹴りつづけている。 いつからだろう。 いや、腰を蹴りつづけられているのがではなく、この、足が私にとり憑いているのは。 きっかけは何だったか。 バグか。 ウイルスなのか。 もしかしたら、エロ動…